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元祖ナベシャツ「洋服のオカ」取材レポート!

2007年10月31日 01:25 ミヤマアキラ
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ずっと以前から気になってはいた。「今年こそは買うぞナベシャツ!」と思いつつ、数年がすぎた。ナベシャツといえば大阪にある「洋服のオカ」が元祖である。ネットでも注文できるが、今年は関西レインボーパレードへの参加を決めたので、パレード当日(1028日)の午前中に洋服のオカ取材を兼ねて直接採寸していただくことにした。一石二鳥の忙しい取材旅行である。

***

 

事前にメールと電話で採寸のお願いをしたところ、「駅に着いたら電話ください。車で迎えにいきますから」と温かい対応をいただいた。しかし、都市部ではない大阪の町並みや住宅街も歩いてみたい。そう思って、お出迎えは謹んで辞退し、駅から歩いて洋服のオカへ向かうことにした。

 

難波から近鉄電車で約40分。駅から洋服のオカの当該住所までは約1600メートル。徒歩で15分〜20分の距離である。平地にぽっかり頭を出した生駒山を背にして歩き出す。快晴のため、少し歩きはじめたあたりから汗ばみはじめた。道路の片側は住宅が立ち並び、反対側の沿道にはビニールハウスの設置された耕地がずっとつづく、わりとのどかな町である。

 

近くまで行ったが、それらしき建物もお店も見当たらないため、電話をかけて場所の確認をしたところ、店舗は持たず自宅のテーラー室で製造していらっしゃるとのこと。電話でのナビゲーションに従って、表通りから1本裏に入った住宅街へ。「岡」の表札がかかったグレーの個人宅から、岡さんご本人が出迎えてくださった。

 

***

 DSCN3365.JPG

「洋服のオカ」の店主・岡一郎さんは、当年とって67歳。ナベシャツをつくりはじめたのは昭和47年。それ以前から、大阪のキタやミナミにあるオナベバーやホストクラブにスーツの生地を持ち込んで、従業員のかたがたのスーツ製造の営業をおこなっていた。岡さんいわく、「繁華街でオーダーメイドスーツの需要が高いのはオナベとホスト。その他のクラブではホステスが主体だし、どちらも既成のスーツでは間に合わない。ホストはオシャレに敏感だし、オナベは肉体的には女性だから、自分の身体に合ったスーツはオーダーメイドするしかない」。

 

その当時、オナベたちがスーツの下に着ていたものはサラシの布である。これをきつく巻いて乳房を平らにしていたが、店に出勤して掃除や開店準備をしているあいだに、すぐずり落ちてきてしまう。これでは、サラシを巻いても巻かなくても、接客中にはスーツの前が開いてしまう。酔客のなかには、開いたスーツの襟から手を入れて胸を触る者もいるのだという。どうにかならないかと相談を受けた岡さんが編み出したのが、「吊り」の部分をつくってずり落ちない構造にしたナベシャツである。

 

スーツもナベシャツもオーダーメイドする場合、採寸はたいてい注文者本人の自宅でおこなう。採寸にあたっては、仕立てのプロである岡さんを信頼して、誰もが上半身裸で計ってもらったという。オナベとはいえ相手は女性の肉体の持ち主であるし、ナベシャツづくりのためには胸元の詳細な採寸が必要なため、岡さんは誤解を招かないよう手指の動きは慎重に行なっている。

 

かくいうミヤマも採寸のときにはアンダーウェア一枚でお願いした。裸体に近いほうがより体にフィットしたナベシャツになるからである。ナベシャツづくり35年の岡さんはさすがに手慣れたもので、採寸そのものは数分で終了した。

 

もちろん、いまでも岡さんの自宅に出向いて採寸のついでに世間話をしていくお馴染みさんがいる。ホームページもつくってはいるが、基本的には地元の口コミネットワークによる注文が中心である。店舗を持たずプライベートな場で交渉や仕事をするため、仲良くなったオナベからは裏話をよく聞く。カノジョとケンカになると、オナベ本人にとって大切な商売道具であるスーツを、腹いせにビリビリに切り裂かれたり、そうなるのを怖れて、切られる前にスーツだけ持って逃げだしたりなどなど。

 

***

 

岡さんの顧客リストは約2200人分。ホストがホストに紹介し、オナベがオナベに紹介するといった口コミ方式でスーツとナベシャツの製造・販売をつづけていたが、1993年に上岡龍太郎が司会を務めるテレビ番組『50人に聞きました』でナベシャツが紹介されて以来、全国から注文が殺到したとのこと。

 

10代からの注文も多い。なかには、学校の先生や病院の担当医がネットで調べて岡さんの存在を知り、本人に「こんなシャツをつくっているひとがいるよ」と紹介するケースも少なくない。しかし、成長期なので無理に体を締めつけないよう、多少ゆとりを持たせたサイズにしつらえている。ナベシャツは胸部用コルセットみたいなものなので、自力で締めつけすぎてあばら骨が萎縮してしまった例もあるという。

 

サイトの写真を見ればお分かりのとおり、岡さんのつくるナベシャツは前開きファスナー式のタンクトップ型である。当初は他の衣類同様、ファスナーを「下から上へ」あげて閉めるタイプだったが、1994年ごろ、「よせてあげて」でおなじみのグッドアップブラ(ワコール)が話題になり、「ブラジャーが胸を寄せてあげるなら、ナベシャツは逆に寄せて下げたほうがいい」と思い、ファスナーを上下逆さにして「上から下へ」下げて閉めるタイプに改良した。

 

また、オプションの「背のデザイン」は、肩甲骨の動きがより自由になるうえ、見た目にもオシャレである。ミヤマは黒1着、迷彩2着合わせて3着とも「背のデザイン」をほどこしていただくことにした。これで1着5300円は安い!

 

完成品が届くまで1週間ほどかかるとのこと。手触りや着心地などは追ってレポートする予定。ぜひお楽しみに!

 

***

 

●告知! その1

御年67歳の岡さんに、ぶっちゃけ「後継者」についてうかがってみた。いまのところ後継者はいないとのこと。「あと10年くらいは現役でナベシャツづくりをつづけるつもり」というので、岡さんのナベシャツ製造技術を受けつくならいまがチャンス! 縫製好きなナベシャツファンは、いますぐ岡さんに弟子入りしよう!

 

●告知! その2

取材(と採寸・注文)終了後、岡さんに最寄り駅まで車で送っていただいた。じつにアットホームで気さくなかたである。帰りの道中、岡さんはHPの更新をどうしたものかと考え中だと語った。HPの維持・運営は業者に委託しているが、業者はナベシャツについて詳しいわけではないので、コンテンツを充実させるにはウェブ構築できるナベシャツファンが必要である。われこそはというナベシャツファンは、いますぐ岡さんに「HP運営はおまかせください!」と連絡しよう!

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