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韓国レズビアン・ネットワークに学ぶ!(3)

2007年11月 2日 00:53 つな
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前半のインタビューでは問題視すらされていなかった学校内でのレズビアン検閲をイヨンさんたちがとりあげていく過程がうかがえます。それによって10代の「天才」くんがカメラを回し、制作過程で自問自答していくハイクラスな当事者性を"OUT"は内包していることがわかります。早く観たい!という方は是非デルタGまでメールください。熱い要望と発信が物事が動くきっかけです。


後半は監督方の敏感さ、具体的な解決策の提示が書かれています。


イ  ヨン監督インタビュー その1ー後半

●無責任なマスコミ報道でアウティング 若いレズビアンが自殺した事例あり

ーー検閲と差別を受けている「天才」にとっては、自分のことだからあれほど強くて衝撃的な告白になるのでしょうが、観客からすれば、「天才」だけに限られる特殊な経験だと思うのでは?


Lesbian Censorship in school 1』を作るために 10人以上の仲間たちに会いました。「天才」はそのなかでいちばん若い友人です。最近大学に入学して、レズビアン検閲を行なう学校社会から脱け出した子もいます。その子も、実際のやりかたは「天才」のケースとは異なるけれども、やはりレズビアン検閲を経験していました。その話を、『Lesbian censorship in school 2』『Lesbian censorship in school 3』などの形で引き続き映像化していく計画です。私にずっと演出を任せてくれるかどうかはわからないけれど()


ーーこの先もまだずっとつづく物語なんですね……どんな内容になるか具体的にお話していただけますか?


たとえば、『Lesbian censorship in school 1』のラストに登場した生徒の一人は、高校時代に善導部(生徒会メンバーで構成され、教師の指示を学生たちが守っているかどうかをチェックする風紀委員会)で活動していました。当時、教師たちはかのじょに直接指導を行ないました。「手を握ったりスキンシップしたりなど、疑わしい行動をとる生徒がいないかどうか調べてきなさい。いたら直ちに知らせなさい」という具合に、レズビアン検閲と統制を組織的に指示したといいます。もちろん、検閲に引っかかれば学業成績は減点されます。


また他の学校では、学校暴力(いじめ)に関するアンケート紙を配布しています。その質問項目のなかに、「あなたはレズビアンか?」というものがあるんです。もし「はい」と答えたら、あるいは誰かが「あの子はレズだよ」と指し示したりすれば、すぐに集中的な検閲・統制の対象になるんです。セクシュアリティが違う子をいじめる生徒たちと同じクラスにさせることもできるし、そうなれば、もっとひどい目に遭わされます。


その他にも、レズビアンだとわかった生徒たちの親に「お宅の子はレズビアンです」という内容の家庭通信文を送って、教師は意図的にアウティングします。その子が短髪にしないように、ダボダボのズボンもはかないように、電話やインターネットもさせないように、すべての行動を監視しなさい、などの具体的な注意事項を指示します。学校側の強制的なアウティングがかのじょたちの生活にどのような影響を及ぼすかを、実践的に検証する計画なのです。


ーー映画にも登場したし、いまもずっと言われていますが、「短髪」「ダボダボのズボン」が規制の基準になった理由は何でしょうか。私の記憶によれば、SBSテレビ『そこが知りたい』が取り上げた10代レズビアンの実態に関する放送内容(*翻訳者追記:2001年に放映)が影響しているのではないかと思います。


そうです。SBSテレビの『そこが知りたい』に登場した10代レズビアンたちの「短髪」「ダボダボのズボン」姿が規制の基準になってしまったのです。また、番組製作チームは、かのじょたちの顔が見えないように画面処理すると約束したにもかかわらず、本人を特定できる程度に中途半端なモザイク処理をおこなってアウティングしました。


当時 TV番組を通じてアウティングされた仲間たちは、その後、人間以下の扱いを受けながら暮したといいます。ある子は家族によって精神病院に送られて監禁され、ある子は強制的に退学させられたそうです。ある親たちは、自分の子がレズビアンであること自体に嫌悪を感じて虐待し、結局その子は鬱病になって治療を受けるようになり


なかには、最終的に自殺を選んだ子もいることが分かっています。この子の話が『Lesbian censorship in School 2』の予告篇に登場します。このように無責任なマスコミ報道についても『Lesbian censorship』の続編で扱う予定です。


●ホモフォビア教師らには性的マイノリティ人権教育が切実に必要

ーー映画制作を通じて、現行の学校制度と教師らに対する問題意識が高まったそうですね。


とても切実に感じました。日記検査(学生の日記を先生が読んでコメントを書く検査。教育活動とされている)も人権侵害だというのに、セクシュアルマイノリティに対する検閲にこんなに無自覚でいいのでしょうか。学生が自分のセクシュアリティについて悩んでいたら、どうしたらよいか相談に乗り、正しい情報を提示するのが教師の役目ではないでしょうか。そういう方向提示をおこなうことによって、かのじょたちが自らのアイデンティティを確立する環境がつくられるはずです。


ところが、現実には、学生が悩みを相談したら、「二度と同性と恋愛しません」的な覚書を書かせ、その子が誰と親しくしているかを調査して家族たちにまで知らせ、一挙手一投足を統制するという息苦しいありさまです。思想検閲には誰もが異議申し立てをするのに、レズビアン検閲にはなぜこんなに寛大なのか……(ため息)。


差別に反対し、人権意識を育成すべき学校の現状がこうだから、学校という閉鎖空間で一日の大半をすごしているレズビアンたち、特に寮生活のレズビアンがアウティングされたら、実際、窓から飛びおりる以外に選択肢はありません。「天才」がしたように、どこにも助けを求めることができない現実が、その友人を自傷行為に追いこむのです。


wom-3.jpgーー学校現場と教師たちはどんな方向に変化すべきだと思いますか。


教師たちに対する人権教育、なかでもセクシュアリティに関する正しい教育が切実に必要です。取材の過程で知ったエピソードのひとつですが、ある若い教師が片耳にだけイヤリングをしているから、学生たちは「先生って変態じゃない? 片方だけイヤリングをするのはゲイの証拠だよね」と言ってからかったそうです。


ところが、その教師は「私は同性愛者みたいな変態ではない!」と言いながら、かれらの前で涙を流して訴えたといいます。ホモフォビア(homophobia; 同性愛や同性愛者に対する嫌悪、恐怖症)の強い教師だったんですよ。

セクシュアリティに関する正当な人権教育を受けた教師なら、ゲイやレズビアンを変態とみなすのは誤りであり、多数派とは異なるセクシュアリティを持っているだけだと説明したでしょうに。


またそのクラスにいる同性愛者の学生についても、その子が間違っているのではなく、君たちとは違う性的指向を持っているだけだと説明できたはずなのに、教師自らが「私は同性愛者みたいな変態ではない」と言って泣いてしまったら、当事者の学生はどんな状況に置かれるでしょうか。それを思うと気持ちは暗澹としてきて、教師たちに対する正しい人権教育の必要性を痛感します。


さらに、同性愛者の人権団体が主張するように、学習教科課程のなかで歪んだ情報を生徒たちに教え込んで固定化させる教育方針の修正が必要です。いまはもうなくなりましたが、私が中高生のころの教科書には、「淋病、梅毒、HIV(エイズの原因になるヒト免疫不全ウイルス)を伝染させる主犯格は同性愛者である」と書かれていたんです。


ひいては、「ミチコとヨシコではなく、タロウとハナコだけが仲良くしなければならない」と無自覚に強要する教科書内容も変更しなければなりません。セクシュアルマイノリティ差別の禁止も、一日も早く制定されなければならないでしょう。



作品の作り手、特に撮影を主な仕事とする人々が逆に撮影される立場になったときには、かなり所在なく不便な立場に置かれるのと同じように、イ  ヨン監督もまた、自分に向けて相次いで焚かれるフラッシュに戸惑う姿を見せた。


「レズビアン検閲に関する話でなければ取材も写真も拒否したと思います」と、照れくさそうに笑うイ  ヨン監督から、今回の作品を通じて具体的に知ったセクシュアリティを検閲・統制する社会に対する強い問題意識をうかがうことができた。

丁寧にあいさつをして去って行くイ  ヨン監督の後ろ姿を見ながら、『Lesbian censorship in school 1』の最後の場面を思い出した。一人のレズビアンが涙ぐみながらカメラを見つめて震える声でこう言った。「ほとんどすべての同性愛者たちは、薬を飲んでセクシュアリティを変えることができたらそうしたいと言います。それくらい、この国で同性愛者として生きていくのは大変だからです」。


多数派に属さないセクシュアリティであるというだけで、世のなかがかのじょたちに向けた差別の重みはどれほどだろう。「同性愛は治療できる病気だ」と言う人々に、「あなたは自分の性愛という指向性を自由自在に変えることができるのですか」と、何度聞き返したいと思ったことだろう。数千年に渡ってこの社会が同性愛者たちに投げつづけてきた差別の重さを、レンズにおさめることで少しずつ減らそうとするこの監督の足取りには、言葉では言い表せないほどの想いが感じられた。


キム  セオク記者

2005 デイリーサープライズ



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