【声明書】同性愛者差別を助長するノ・ムヒョン政権を糾弾する

韓国のレズビアン人権団体が11月5日に出した声明書の日本語訳を掲載します。今国会で通過しようとしている差別禁止法(じつは差別助長法)が、どのような経緯によって原案を骨抜きにされてきたかがわかります。
***
[声明書]同性愛者差別を助長するノ・ムヒョン政権を糾弾する
11月2日、規制改革委員会に移された「差別禁止法案」において「性的指向」を含む7つの項目が削除されたことに、わたしたちは無念を超えて怒りを感じる。性的指向・学歴・兵歴・出身国家・言語・家族形態および家庭内状況、犯罪そしてその保護・処分・前歴に対する差別禁止の内容が抜かれた「差別禁止法案」が、いったいどういう意味を持つというのだろうか。「全般的な人権向上と社会的弱者・少数者の人権保護を図る」ことを提案の基調としていた政策担当者らは、法案の主旨をいきなり「部分的人権向上、社会的弱者・少数者のうち、選ばれた人のみの人権保護を制限的に図る」と変更したのだろうか。
同性愛者に対する嫌悪犯罪は日々増加しているが、それをどう扱っていくつもりなのだろう。ついこの間、韓国を揺がせた学歴主義社会の問題とその弊害を忘れたのだろうか。数多く報告されている移住労働者の人権侵害問題や、個人の病歴にまつわる社会的不平等問題は放置していいのか。いまだ「両親とこども2人」からなる4人の核家族モデルのみを「正常な」家族形態といってよいのか。前科を持つ者の社会適応をより難しくする気なのか。この法案に強制力はないが、国家人権委員会の法案を信じ、「けれどわが国には『性的指向』による差別はいけないという法条項がひとつはある」と励まされてきた同性愛者たちは、いまや自分らの差別問題を助長し、無視しようとする政府を目の当たりにして、いかなる気持ちで日々耐えていかなければならないのだろう。
現在、保守キリスト教界は実に盛況だ。これまで教壇上でやってきたように今後も思う存分同性愛者を非難し、自分らの教会や学校にいる同性愛者を異性愛者に矯正するためなら、手段を選ばなくてもよくなったからだ。「性的指向」条項削除について、韓国キリスト総連合会関係者の「とてもよかった」との発言に、わたしたちは怒りを感じる以前にまず訳が分からない。自分の周りで数多くの同性愛者たちが「わたしは差別されてもいいと法が言っている」と自壊と鬱に陥り、生への意志を失いつつあるのに、「よかった」と喜んでいるとは。果たして彼らに人間に対する最低限の礼儀、常識が通じるのかと問いかけたい。自ら差別を助長し、盛り上がっているとは。このような人物が、韓国キリスト教界のみならず社会各界に絶えず圧力をかけていくのかと想像するとぞっとする。
彼らの望む「国の秩序」とは、はたして彼らがそれほど呼び叫んでいる神の教えに合致した秩序だろうか。キリスト教のいう「信じる・願う・愛する」とはどうやら、数多くの罪のない人々を苦しませるのが正しいという意味で「信じる」、同性愛者たちが神に見捨てられてほしいという意味で「願う」、そして特定の人のみが受ける資格をもつという意味で「愛する」を指しているようだ。本当にそうであるならば、キリスト教は本来の精神とあまりにかけ離れているのではないか。聖職者たちはこのことに恥を知るべきなのに、それどころか、差別を助長する「差別禁止法案」に喜んでいる。同性愛者が消えてこそこの社会の秩序を正すことができると思っているならば、それは同性愛者に対する死刑宣告と同じようなものだ。21世紀、大韓民国でまたも魔女狩りが横行するのかもしれない。
法と国家は、やはり権力をもつ者のみが左右できるものなのか。差別されてきた当事者たちは苦しんでいるのに、自分たちだけで削除決定を下していいのだろうか。同性愛者の権利運動陣営は、当事者に対する差別を禁止する、あるいは処罰する法的装置の必要性について数年間力を注いできた。だが、わたしたちのその主張は、金・権力・地位をもつ保守既得権層の反対ジェスチャーによって葬られようとしている。政府は本当に大統領任期末期まで、こうしてわたしたちの要求に背を向ける気なのか。一番抑圧されている者の人権を保障する最後の砦であるべき法制度が、暴力的倫理規範をもつ既得権層に振り回されているのかと思うと絶望を感じる。
与党政府はいったいこの国の運営にどのような者を参加させてきたのか。いまの政府が成立してからの5年間、不当な差別の被害者や長い間抑圧されてきた犠牲者たちが社会の一員として位置づけられるよう正しく機能してきたかどうか疑問である。そして、この差別禁止法案を年内に決めるということは、人権向上のための与党政府の業績に傷をつけることになる。それは、上記で指摘してきたように、差別禁止法案が差別を助長しているからだ。このことはつまり、現在、規制改革委員会に移された法案が、皮肉にも人権侵害的な差別禁止法案であることを意味する。
現在、政府は次期大統領選挙を目前に控えている。だからといって、政権は責任や義務を怠慢・放棄しては絶対にならない。わたしたちはノ・ムヒョン政権が必ずこのことに責任を負い、差別禁止法案を最終的に再検討することを要求する。この法案が現在のように性的指向・学歴・兵歴・出身国家・言語・家族形態および家庭内状況・犯罪そしてその保護・処分・前歴に対する差別禁止内容を含まない状態で通過されるなら、これは韓国社会の人権問題に直結する問題であり、ノ・ムヒョン政府の汚点として未来永劫歴史に残るだろう。
わたしたちは、一瀉千里(いっしゃせんり)に進んでいる人権侵害的差別禁止法案の入法過程を、決してただ眺めているだけではいられない。意を同じくする多くの人々とともに、人権を保障する差別禁止法案が作られるように頑張って活動していくつもりだ。最後に、「性的指向」を含む7つの条項が削除された差別禁止法は、差別助長法にすぎないということをここに明言する。
ノ・ムヒョン政府は責任を負い、差別禁止法案の最終案を修正せよ!
2007.11. 5
韓国レズビアン権利運動連帯
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 【声明書】同性愛者差別を助長するノ・ムヒョン政権を糾弾する
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.delta-g.org/mt/mt-tb.cgi/31




















コメントする