【韓国】差別禁止法案をめぐる経緯
韓国ウェブ新聞イルダなどの協力を得て、差別禁止法の概要や、原案の立案、原案反対派の動き、そして反対派への抵抗の動きなど、現在までの経緯をまとめました。
●差別禁止法とは?
憲法の核心理念である「平等の原則」を実現するための確認的立法であり、政治・経済・文化など社会すべての領域で、性別・障害・年齢・出身地・人種・学歴・性的指向などを理由にした差別を禁止する法。
差別の被害者ならびにその事実を知る人は国家人権委員会に陳情することができ、裁判所はこの法にもとづいて、差別の中止、損害賠償、賃金・勤労条件の改善などの判決を出すことができるなど、積極的な差別是正措置が可能となる。
また、差別陳情や訴訟を行なった人に解雇・懲戒・退学などの不利益を与える場合には、2年以下の懲役や1千万ウォン以下の罰金刑に処するようになる。国家と地方自治体は、既存の法令・条例・政策などをこの法の主旨に沿うよう修正しなければならない。
●法案立案からの流れ
差別禁止法は、2002年の大統領選挙の際に、ノ・ムヒョン現大統領が公約のひとつとして初めて言及し、03年1月から06年7月にかけて、国家人権委員会内に設置された「差別禁止法制定特別委員会」で草案作成がすすめられた。その間、人権運動団体が共同で法案修正に尽力して20項目の禁止対象要件を策定。06年7月24日に国家人権委員会が政府に法案制定を勧告し、今年10月2日の立法予告へ。
今後予想される進行としては、法務省で意見を取りまとめ、次官級会議に移り、国務会議で最終承認がなされる。その後、国会案件に移り、国会で承認されれば法公布、公布から1年後に施行される。
●差別禁止法に反対する陣営の動き
07年3月から、釜山大学のギル・ウォンピョン(Gill Wonpyong)物理学教授(クローン複製反対組織の会長)が中心となって、差別禁止法内の同性愛条項の削除を請願する活動を開始した。これまでに29の大学211人の教授が反対声明に署名しており、今後、各政党に発送される予定。
10月16日に大韓民国国家朝餐祈祷会(単純な宗教団体ではなく、国家のために大統領を呼んで一緒に祈る団体)で緊急理事会が開催され、「聖市化運動本部」(国内各地で組織化されている。名前の通り、都市を聖なる地とする福音都市化運動団体)、「韓日キリスト議員連盟」(1998年4月に結成した、日韓親善交流のための日韓キリスト議員連盟)とともに「同性愛反対本部(仮称)」の設置が決定される。
当本部はクリスチャンの国会議員たちに差別禁止法の害悪性を知らせるメールを送信し、22日までに法務省宛に法案に反対する内容のファックスを送ることに力を注ぎ、同日には、「同性愛者差別禁止法案を阻止する議会宣教連合」を発足する記者会見を行なう。
同連合の常任代表はキム・ヨンジン長老(韓日キリスト議員連盟共同代表, 前農林部長官)。イ・ヨンギュ牧師(韓国キリスト教総連合会代表)とチョン・ガンキョ司令官(韓国キリスト教教会協議会会長)が常任顧問、共同代表は、チョン・ヨンテ長老(聖市化運動本部代表)、イム・トンジン牧師(KBSN放送芸術院院長)である。
11月中に国会でシンポジウムを開催し、年末までに署名1千万人運動を展開する予定。各党のクリスチャン議員たちを中心に差別禁止法案対策機構を結成することが目標。
●反対陣営への対応状況
10月22日、「同性愛者人権連帯」が法務省に差別禁止法支持意見書を送る。KSCRC(韓国性的少数者文化人権センター)がHuman Rights Watchに公式立場の発表を要求。
10月24日、12月に行なわれる大統領選挙に臨むための 5団体「チングサイ」「桃色チマ」「トランスセクシュアル人権連帯」「同性愛者人権連帯」「KSCRC」(いずれもセクシュアル・マイノリティ団体)会議において、より幅広い対応が必要であるとの見解が一致し、緊急行動の開催準備を開始。
10月31日、性的マイノリティ差別および嫌悪阻止のための緊急行動集会。性的マイノリティのコミュニティメンバー100人以上が抗議のために集まった。
11月2日、韓国レズビアン人権相談所と韓国レズビアン権利研究所が抗議声明書を発表。
11月5日、ヨンセイ大学機械工学研究所で行なわれた集会では、差別禁止法案の原案を復活させようとの声が強く上がった。韓国レズビアン人権相談所と韓国レズビアン権利研究所が第二の抗議声明書を発表。
11月7日、人権運動サランバン、オンニーネットワーク、マイノリティ差別阻止のための大学生連帯が声明書を発表。性暴力研究所をはじめとした団体の連名による「女性団体共同声明書」発表。釜山人権センター、人権研究所「窓」、同性愛者人権連帯が賛同人として署名。
11月8日、午前10時より政府総合庁舎前で「性的マイノリティ差別阻止緊急行動」による記者会見の予定。約10団体が抗議声明書を発表する予定。
●差別対象要件について
▼差別禁止法案(原案)における差別対象要件20項目
sex(性別), disability(障害), age(年齢), nationality(国籍), ethnicity(民族), race(人種), skin color(肌の色), language(言語), origin of birth(出自), appearance(身体的特徴), physical condition(病歴), marriage status(婚姻の有無), pregnancy status(出産の有無), family type(家族構成), religion(宗教), ideology or political
opinion(思想または政治信条), criminal or detention record(犯罪または拘留歴), sexual orientation(性的指向), educational
status(学歴), social status(社会的地位)
▼削除されなかった要件
sex,
disability, age, ethnicity, race, skin color, origin of birth, appearance,
marriage status, pregnancy status, religion, ideology or political opinion,
social status
▼削除された要件
nationality,
language, family type, criminal or
detention record, sexual orientation, educational status, physical condition
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