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「辛い」「苦しい」だけにはとどまれない

2007年12月26日 01:46 クマ
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[ネタバレ上等! クマのエイガヒョウ 002

 『OUT:レズビアンの何が悪いの?(2005)OUT: Lesbian censorship in school』

観てきたー。1223日に、れ組スタジオ東京の20周年記念パーティー@PA/F Spaceで上映されてたのー。

韓国の女性映像集団(フェミニスト・ビデオ・アクティヴィズム)WOMが制作した、10代レズビアンに対する検閲批判作品。登場人物の名前は明かされない。顔も映されない。映るのは、「私」が歩きながら自分で撮影した靴先と、生々しいリストカット跡が無数に残る両腕と、「私」の、ちょっと鼻づまり気味な声だけ。

 

「私」は、担任の教師によって別な学校へ転校させられそうになっている。なぜなら、「私」はレズビアンだから。

 

  転校するだけじゃ意味がない

  学校は離したがっても

  ふたりの心はつながっている

 

犬の吠える声が、学校の先生の怒鳴り声に聞こえる。

雨が降ると、ただでさえ嫌な学校へ行くのがなおさら億劫になる。

 

「私」がレズビアンだと先生に知られたのは、持ち物検査のときに、カバンのなかから、大好きなかたとやり取りしていた手紙が見つかったから。

 

  「愛? お前らレズビアンか?」

 

「私」は、レズビアンの友人ふたりにインタビューする。そのうちひとりは、インタビューのあいだ、ひっきりなしに唾を吐いていた。吐いても吐いても吐ききれないものを吐き出すように。

 

ふたりでいるところを学校の監視役に見つかり、先生に告げ口された。先生に捕まって、廊下に並ばされた。

 

  「もう会うな。近づくな」 ——親友なのに

  ひどい目に遭うぞと脅される

  もっとひどい罰を受けることになるぞ と

 

  タバコや酒ならやめられる

  でもレズビアンは?

 

  腹がたつ 悲しい 殺してやりたい

  でも言い返せない

  先生に自分の信念を言えない

  頭が真っ白になる

  自分の言葉で話せない もどかしい

 

  先生はバカだ

  学校だけの問題じゃない

  “レズ”と言われたらどんな気持ちになる?

  ——クソッ! と思う

  ——生きづらい

 

「私」は、屋上でひとりきりになり、いろんなことを考える。先生は、「おとなしくしていたらテーマパークに連れて行ってやる」と言う。なにそれ? 女を好きになったら罰されて、男を好きになったら遊園地なの?

 

ある日とつぜん友だちが転校した。その子のお父さんが一緒に来て、その子の道具を片付けていた。「私」はびっくりして教室を出た。

 

  まだ<告白>していない

  <好き>と言っていないのに

  人前では泣けなかった

  気分が悪いと言って早退した

 

  学校こそ生徒を守るべきなのに

  まるで<監獄>だ

  生徒同士は会えないし お昼も一緒に食べられない

  そのうえ転校までさせられる

 

先生は、「私」のお母さんに学校へ来てもらって、「お前の学校での様子を見てもらう」と言う。もしお母さんが来なければ、先生は自分が正しいと思うだろう。

 

  先生は 生徒の苦しむ姿を見て楽しんでいる

 

お酒を飲んでいることが学校に見つかったら、掃除をさせられる。タバコの場合も同じ。だけど、女子同士でデートしているのがバレた場合は登校禁止。休学。どうして?

 

「私」は、洋服のそでをめくって、無数に走る腕の傷をカメラに映し、腕に語りかける。

 

  私が傷ついたら あなたは3倍傷つく

 

レズビアンの結婚式の絵を描いたことで、「私」は先生に呼び出された。同じクラスの子が妊娠したって処罰されないのに。どうして?

 

カメラを回して友だちにインタビューしていたとき、友だちから逆にインタビューされた。

 

  ——どうしてインタビューしているの?

 

「私」は答える。

 

  インタビューを通して 社会との架け橋をつくりたい

  社会に 同性愛を もっと理解してほしいから

 

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*****

 

観終わったあと、パーティー参加者のかたがたは口々に、「昔の辛い気持ちを思い出して、なんか気分が沈んじゃうね〜」と苦笑いしながら言った。それはそうなんだろうと思う。若い「私」の苦悩する様子は、ある世代の過去の苦しみを引き出すのだろう。

 

でも、「私」をあなたたちのノスタルジーにとどめておかないで。「私」もかつてのあなたたちがそうだったように「苦しい」し「辛い」けれど、先輩レズビアンたちに励まされ、背中を押されて、カメラを持って外の世界に一歩飛び出した。怖いし、不安だし、孤独だし、まだまだ弱々しいし、とても自分の姿など映すことはできないけれど、でもなにかを変えたくて。

 

あなたたちは、昔の苦しみを思い出して気持ちが沈んでしまうだけなの? そんな20周年?

 

「私」はその後、仮面をつけてカメラの前に姿をあらわすことになる。名はチュンジェ(Chun-Jae)。韓国語で「天才」という意味。先輩レズビアンであるWOMとの出会いがなければ、チュンジェは生まれなかった。



ーーー

【関連サイト】

WOM公式サイト

 

【関連記事】

韓国レズビアン・ネットワークに学ぶ(1)

韓国レズビアン・ネットワークに学ぶ(2)

韓国レズビアン・ネットワークに学ぶ(3)

[韓国]10代のレズビアンを知る

[いぬのえいがひょう]OUT:ホモフォビアを叩きのめす!プロジェクト


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