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中国の植物学者の娘たち

2008年1月12日 05:52 いぬ
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[いぬのえいがひょう] vol.013

中国の植物学者の娘たち (2005) 植物园 Die Töchter des chinesischen Gärtners

 

植物学者の娘アンが、実習生の娘ミンといちゃつく。

同性愛がタブーの地域なのに、おおっぴらにいちゃつく。

彼女たちはタブーだと知らないわけでもなく、タブーを挑発することで抵抗する意思があるわけでもないのに、いちゃつきまくる。

このかたがたは、一体何をやっているのでしょう。 (何をやっているも何も、いちゃついているのですが)

彼女たちが一緒に暮らすアンの父の植物学者は、威張り散らすホモフォビア男。アンの兄、タンはマッチョ軍人。

町の人々は女たちのいちゃつきを訝しむけれど、父と兄は全く気が付かない。

気付かないほど、彼らは普段、自分たち男のことだけしか考えていない。

彼らにとっては男が世界のすべて。女は男の所有物。所有することで、男の価値を高めることが出来る道具でしかない。

男の命令に従うのが上手いか下手かの従属の度合い。他の男に自慢するための男向けの美しさの度合い。

そういった、男向けの道具としての値打ちと繋がらない行動は、何も目に止まらないのでしょう。

タンは、ミンの外見の美しさに魅かれて彼女を嫁に貰い、当然のように彼女が処女であることを期待する。

彼女が処女であることは、彼女の性器が自分だけの「モノ」であることの証明となる。

ミンは自分の性器にタンだけのものという烙印が押されることが耐えられず、タンに陵辱される前にアンと性器貫通を伴う性行為を行う。

しかし、そのため「処女」でなくなったミンは、タンに問い詰められるが、堅く口を閉ざすばかり。

怒り狂ったタンは、殴打し宙吊りにし拷問してミンを責める。

 

しかし、男の女への暴力をそこまで描きながらも、彼女たちはレズビアンとして暴力に曝されているという自覚が見受けられません。

 

この映画の中には、ミンとアンに、レズビアンを自覚している描写がまるで見当たらないのです。

せいぜい、アンの、「ミンと出会って初めてそれまで感じたことのなかった安らぎを感じた」というモノローグくらいのもの。

彼女たちは、ただただ、いちゃついているだけ。

そもそも、いちゃつきの舞台を豊かな緑の溢れる植物園に設定したのは、彼女たちの性愛を、「自然なもの」とイメージづけたかったからではないでしょうか。

自然なもの。それは、意思の介在しようがないもの。仕方のないこと。彼女たちに責任がないこと。

この映画の彼女たちからは、意思というものが、意図的に取り除かれているように思えます。

意思をもって、女として女を愛すること。つまり、その性愛の在り方を自ら引き受け、意思を持って愛すること。レズビアンであるということ。

 

「彼女たちの性愛は自然なことです」という肯定の仕方をしたいのでしょう。

 

kuma-0012.jpg

もしかしたら、これは同性愛者の人権運動で言われる、「同性愛も、異性愛と同じように、自然なことなのです。人が人を愛しているだけ」という主張への配慮かもしれません。

そうだとして、ほんとうにそのような配慮をする必要があるのでしょうか。自然なものだと主張する必要があるのでしょうか。

 

同性愛が自然だ、と言っているは、同性愛が自然だ、と言っているのではありません。

同性愛「も」自然だ、と言っているのです。

それは、暗黙に異性愛を自然と言っていることも同然です。

妻にした女が処女じゃないとわかったら虐待する男や、明らかに人為的な制度的結婚をする男女。

そんな異性愛の仕組みすらを、自然だと言っている。

そして、レズビアン自覚のあるレズビアンを、自然ではないと切り捨てている。

 

更に、この映画で描かれる、2名の非レズビアンのいちゃつき女は、若いです。

若い女を美しいとする支配的な性別観に沿って設定したのでしょう。

 

これは、露骨なエイジズムをベースに、同性愛を擁護する素振りをしながらレズビアンを切り捨て、暗黙に、不自然な異性愛を自然だと語っている映画なのでしょう。

この映画での問題点を修正した、『海底の天文学者のレズのおばあさんたち』や、『木星の物理学者のホモのおじいさんたち』といった映画がこれから他にあらわれることが楽しみです。

 

ところで!そんなことより、いぬかわいいよー! いぬってすてき! わんわん!



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【映画関連情報】

公式サイト

・"ネタバレ上等!クマのエイガヒョウvol.1"(デルタG記事)

・劇場情報 

都道府県

劇場名

TEL

公開日

北海道

札幌シアターキノ

011-231-9355

2008年公開予定

宮城

仙台フォーラム

022-728-7866

2008年公開予定

東京

東劇

03-3541-2711

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東京

キネカ大森

03-3762-6000

2008112日(土)〜

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神奈川

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2008年公開予定

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