【神戸】今年のテーマカラーは「ピンク」!【5/18】
[第3回 LGBTIQプライドマーチ in 神戸 2008 に向けて]
去る2月10日、神戸市立総合福祉センターにて、神戸LGBTIQプライドマーチの主催による「虹色の社会に向けて」と題する勉強会が開催された。尾辻かな子さんをゲストスピーカーに迎えての基調講演とILGA(*)
ASIA国際会議の報告、プライドマーチ発起人のケンゾヲさんを交えてのお話、会場とのやりとりが行なわれた。
神戸の高校に通っていた尾辻さんにとって、神戸はなじみの深い都市。この日は、尾辻さんの高校時代の友人が会場に駆けつけており、お互いに再会を懐かしむシーンも見られた。会場にはセクシュアリティも年代もさまざまな60余名の参加者が集い、尾辻さんの基調講演に耳を傾けていた。
●ILGA
ASIA国際会議の報告について
ILGA
ASIAは2年に1度開催される会議。アジア地域の仲間たちがどんな状況に置かれているか、そして厳しい現状を変えるためにどうすればいいかについて情報交換をする会である。
今年はタイのチェンマイで、1月23日〜27日の5日間にわたり、第3回目の会議が開催され、アルバニア、キルギスタン、タイ、シンガポール、中国など、20カ国が参加。日本からは尾辻さん、上川あやさんをはじめ7人のメンバーが参加した(2月17日に尾辻さんによる報告会、3月8日にはPa/F Spaceにて日本チームによる報告会が行なわれる)。
同性愛(行為)は81カ国で違法とされ、懲役刑や罰金刑に処される。モーリタニア、スーダン、アフガニスタン、パキスタン、チェチェン、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イエメンの9カ国では死刑の対象となる。そういうわけで、ILGA ASIA参加国は、「同性愛(行為)が罪になるか/ならないか」で明確に分けられてしまう。
国際会議の開催に合わせて、チェンマイでは初のLGBTプライドパレードが行われた(日中は暑いので日没後に開催)。尾辻さんがビデオ撮影したパレード映像を見ながらお話をうかがう。アジアの特徴として、パレード参加者にはトランスジェンダーが多かった(おもにMtF系)。中国やシンガポールでは、道路を占拠すること自体が禁止されているので、パレードを行うことができない。
その他、ネパール初のLGBT団体Blue Diamond Society(BDS)は、ビルを一棟借りてそのなかに事務所をかまえていたが、周囲の無理解によって追い出しを迫られていること、中国では結婚のプレッシャーがとても強いこと、インドネシアでは初のLGBT映画祭が行なわれ、日本の作品『初戀』が上映されたことなどが報告された。
●神戸LGBTIQプライドマーチについて
つづいて、プライドマーチのケンゾヲさんのお話。今年で3回目を迎える神戸LGBTIQプライドマーチは、最初15人の自助グループ(ゲイ男性を中心として、レズビアン、トランスジェンダーのクラブイベント仲間)の形で実行委員会が発足された。阪神大震災の後、しょんぼりしている地域コミュニティが元気を取り戻すためになにができるか、という話し合いからはじまった。
なんとかしてパレードをやりたいと思ったが、当事者たちだけで固まっていては外への理解が広がっていかない。そこで、神戸でもっとも規模の大きい「神戸まつり」に参加する方向で考えていった。
神戸まつりは毎回30万人を動員するビッグイベント。毎年メインフェスティバルは地元サンテレビが生中継をしており、神戸新聞も一面に取り上げる市民のまつりである。ところが、地元に暮らすLGBTらにとってはメディア露出の高さが逆にハードルとなっており、顔を出せない事情のあるひとびとは参加しにくい状況だ。神戸プライドマーチは神戸が大好きなLGBTIQの当事者、団体、支援者なら地域を問わずに参加できるので、メディア露出の高さを活用して、「顔を出せるひとたちが参加することによって当事者の可視化をうながしていきたい」と、ケンゾヲさんは語る。
また、顔を出せないひと、参加できない全国のひとからは、LGBTIQの当事者である気持ちや、これからの社会にたいする願いをハンカチに書いてもらい、縫いつなげて大きな旗を作り、パレードを歩くみんなと心をつなげる企画もある。
2006年の第1回は「神戸ゲイパレード」の名称で開催し、35人が参加。2回目の昨年は「神戸LGBTIQプライドマーチ」と改称し、参加者が一気に100名を越えた。「一般市民が参加するまつりにはいることで、より可視化される」ことを提案した市民参加型パレードは、全国の他地域の当事者たちに勇気を与えた。昨年の博多どんたくにはレズビアンを中心としたグループが新たにレインボーパレードを開催したのだ。
●レズビアンが独自に直面する問題
「一口にLGBTと言っても、レズビアン、ゲイ、トランス、バイセクシュアルらはそれぞれバラバラに離れたコミュニティに点在しています。まずは当事者同士の置かれた異なる状況をお互いに知り、心をつなげていくことが大切」。ケンゾヲさんがそう話したところで、会場のゲイ男性から質問があがった。「レズビアンが独自に抱えている問題には、どのようなものがありますか?」
それに対し、尾辻さんがパワーポイントの資料を使いながら解説する。「レズビアンの抱える問題は、女性が抱える問題と重なっています。まずは経済格差の問題があります。結婚を選択しないレズビアンは、自分ひとりで生活を維持していくだけの収入を必要としますが、実際には、男性の平均賃金は妻子を養っていくという名目から、女性の平均賃金をはるかに上回っています」。派遣などの非正規雇用にあるひとは、男性は2割弱であるのに対し、女性は5割を超える。一般労働者の1時間あたりの給与水準については、男性を100とすれば、女性は68.8(平成17年度内閣府男女共同参画白書・概要版より)。
また、健康面については、ゲイ男性はHIV感染のリスクの高さが論じられる一方、レズビアンは乳がんや子宮がんに罹患するリスクの高さを抱えている、と尾辻さんは語る。乳がんに関係すると考えられる危険因子には、「初産が30歳以上」「出産経験がない」などのファクターがある。年代別の乳がん罹患率については、30代から急激に増加するというデータがある。各自治体では40歳から乳がん検診(住民検診)を行っているが、それでは30代から罹患が急増する事実に対応できていない。妊娠・出産を経験しない女性は婦人科検診と縁が遠いため、予防が不十分だったり発見が遅れたりする可能性が高いと考えられる。
したがって、レズビアンのアダルトチームは乳がんのハイリスクグループにはいるといっても過言ではない。「『Lの世界(The L word)』のシーズン3では、メインキャラのひとりが乳がんを患って死ぬんです。なぜかのじょが乳がんで死ぬと設定されているのか。これはとても象徴的なことだと考えられます」と尾辻さん。
●今年のプライドマーチは5月18日に開催!
神戸LGBTIQプライドマーチで歩く距離は約1.3キロ。15〜20分でゴールできるので、体力にあまり自信のないかたでも安心して参加できる。ただし、権利を主張する方向ではなく、「私たちはここにいます。あなたたちのすぐ隣にいます。ともに生きましょう」というアピールを重視するため、シュプレヒコールもやらなければプラカードも持たない。代わりに、沿道3ヶ所でアナウンスがなされる。
「私たちは、セクシュアルマイノリティの当事者として多様性を、そしてHIV・AIDS予防啓発活動から、ともに生きることの大切さを学んできました。今回のプライドは、さまざまな違いを乗り越え、その違いを認めあい豊かさに変える事が出来る地域社会へ向けて、セクシュアリティの象徴色であるピンクをイメージに、全国の仲間から寄せられた愛のハンカチと、多様性の象徴の虹の旗を掲げ、華やかに楽しく神戸市民のみなさまと笑顔でパレードします」
今年のテーマカラーはセクシュアリティを象徴する「ピンク」(昨年は黄色)。現在のレインボーフラッグには存在しない色だが、ナチスによるユダヤ人収容所では、ユダヤ人には黄色の札がつけられ、同性愛者にはピンク色の逆三角形(ピンクトライアングル)の札を目印としてつけられた。「ピンクと言ってもさまざまな色があるように、ピンクレディーやピンクパンサーを連想するひともいるでしょう。僕の場合は『ピンクナルシス』という映画を第一に連想しました。自分がもつピンクのイメージを広げていただきたいと思います」(ケンゾヲさん談)
神戸まつりの主催側から参加許可が発表されるのは3月下旬以降。推定参加者数は150名で申請しており、200名を越えると参加制限がかかる。今年はぜひとも200名を目標としたいところ。サンバチームの勢いにかき消されないよう、にぎやかなピンクの衣装で参加しましょ。前日の17日はIDAHOデー。翌18日は神戸に集合よっっっ!
(*)ILGA(International
Lesbian & Gay Association)は、LGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)の人権活動にかかわる国/地域レベルのグループをつなぐ国際ネットワーク。1978年設立。いまや90を越える各国から600以上の団体が加盟している。
【参考サイト】
神戸LGBTIQプライドマーチ公式サイト
http://kobepridemarch.web.fc2.com/
神戸PrideMarch【愛のハンカチ】(mixi内コミュニティ)
http://mixi.jp/view_community.pl?id=643675
クィア・レインボーパレード2007in博多どんたく
http://members2.jcom.home.ne.jp/rainbow-parade/keitai-2007parade-info.html
図録▽男女賃金格差の推移(国際比較)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3350.html
なぜ違うの? 男女の賃金(福島県男女共同参画高校生副読本)
http://www.pref.fukushima.jp/danjo/kankoubutsu/fukudokuhonn/beyourself/320_syakai.html
ピンクリボンキャンペーン/派遣・求人・転職のパソナ
http://www.pasona.co.jp/prj/pinkribbon.html
NPO法人乳房健康研究会
朝日新聞 乳がん特集
http://www.asahi.com/health/news/cancer.html
性感染症予防啓発ボランティア BASE KOBE
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