[新連載]住まい図鑑
日本中に同じハウスメーカーの家が建ち、建材は土地から離れ市場流通網を高速移動する現代。そんな状況下でも、住まいは人の暮らしを映し、時代を映し、地域を映す、はず。という思い込みのもと、建築周辺をウロウロする私・イトサチが、人の「住まい」から暮らしや時代、地域などについて書き描きつづってみようと思います。
■ 建物概要
・住所:東京都新宿区(最寄駅:JR新大久保駅徒歩5分)
・間取:2部屋(5畳、6畳)、キッチン、トイレ、バス
注*畳の寸法は835×1540mmと一般住宅よりもかなり小さい!
【参考】京間955mm×1910mm 、江戸間880mm×1760mm
・住人構成:女2人
●2女の住居兼オフィス
5畳間と6畳間と、2部屋あるこの住まいなら、2人で住むのもさして難しくないのでは?と思うなかれ。ここは住居だけでなくオフィスの機能も合わせ持ち、住宅+オフィスがアパートの一室にあるという計算に。しかも2人のPCやプリンタなどは共有していない上、特別規格の畳のせいで、一部屋のサイズも一般より2.5割程度小さいというから大変だ。だがしかし、人の適応能力はたくましい!限られた空間の中でも工夫を凝らして、住宅兼オフィスはいじらしくしっかり機能していた。
●多機能空間の成立
この高密度空間を成立させるポイントは空間の多機能化にある。
まず、背の高いベッドの下にデスクという、子ども部屋にあるようなシステムで寝職空間の一体化に成功。ただこの場合は立派な成人サイズなので、デスクで大きな伸びをすることはご法度だ。しかし、ベッドの下にしっかりとPC2台と、プリンタおよび隣のオフィスと共有のミーティングスペースまで完備! おそらくミーティングスペースは時に食事テーブルとしても機能すると思われる。食空間も兼ね備えた、恐るべし多機能スペース。
本棚はもちろんスライド式の2層のもので、棚の上にも収納ボックスがテトリスのように積み上げられる。ただ、地震の際の対策に防災頭巾の用意を勧めたい。
そして、風呂場のスペースもトイレとは独立しているのだが、洗濯機が入り込みなかなか高密度。ベランダがあまりに狭く、他に洗濯機を置く場所がないため風呂場に収まったとのこと。
●3次元的空間活用
都心部の立体駐車場のように、大がかりな機械システムで床面積の狭さをカバーするように、限られた面積しかない場合はその高さ方向の工夫が重要だ。たとえば、初めに一段高くし床下収納をつくったり、鴨居(かもい)や長押(なげし)部分に板を渡し棚をつくるなど。要は床面を確保しつつ、高さ方向に収納スペースを設けるのだ。東京ほどの高い家賃の地域なら、入居前にそういう手間・費用をかける価値はあるように思う。
●変化し続ける多機能空間
東京という異常な高密度都市が生んだ高密度住宅。そこには限られた環境に能動的に手を加える、いじらしい人の暮らしがあった。住人のアイディアと気まぐれで、変化し続ける住まいの今後の更なる多機能化に期待したい。
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