スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド
[ネタバレ上等! クマのエイガヒョウ 005]
スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド
(2006)The Pervert's Guide To Cinema
イメージフォーラム・フェスティバル2008でやってたの、観てきたー。
全3部構成でトータル150分の大作。150分かー、途中できっと寝るなぁと思ったけれども、ジジェクのマシンガントークに引き込まれて寝ないですんだ。ジジェクの顔ってコワいよねー。ひとを2〜3人殺してきたような、強度の鬱にさいなまれているような。コワいからこそ目が離せない風貌は損なのか得なのか。どっちでもいいか。
『エクソシスト』と『エイリアン
』に言及しながら、「人間は、エイリアンに乗っ取られる側ではなく、人間こそが自分自身をコントロールしようとするエイリアンなのだ」みたいなことを言っていたのが、とくに印象に残ってる。なるほど、それはそうかもねー、と思ってみた。クマ自身、自分はほんとうは地球外生物であって、いまはたまたまこの身体を借りてこの星にフィールドワークしにきている、っていうシナリオを好んで選択していたりするし。
それはいいんだけど、性的欲望とか性的ファンタジーについては、ジジェク自身がヘテロ男性だからなのか、ヘテ男の視点からしか語られないのが不満。『めまい』を例に挙げて、「性的ファンタジーが現実のものとなるとき、過度な暴力があらわれる。相手の女性の存在を否定して、自分の理想の女という枠にはめ込むことで、性的ファンタジーが現実化される。男にとって女とは、つねに『死んでいる女』なのだ」というようなことを語るんだけど、それって非規範的性愛にもあてはまることなのかしら? っていうか、「死んでいる女」相手じゃないと性欲が起こらない男自体がすでに死んでるんじゃないの? 自己完結してるってことでしょ?
邦訳書籍からの孫引きだけど、JoAnn
Loulan『Lesbian Sex』では、性的興奮が起こってから性的行動に移行するという性的な反応の順序についての伝統的な考え方にとって代わる新しい視点として、「意欲」というものを紹介しているそうな。「意欲」は、感情的・知的な世界にあるもので、身体的世界にある必要はない、と。伝統的な性的興奮が身体に起こらなくとも、「してみたい」と言うのが意欲的アプローチ。
精神分析的には、性欲や性的興奮も身体的世界にあるのではなく、感情的・知的な世界に属しているものなのだけどね。というツッコミはさておき、また、くだんの書籍を読んでいないので、著者のいう「意欲」がどういうものかは理解していないのだが、クマは、「性欲」「性的ファンタジー」より「意欲」のほうが、自分が性行為に臨もうとするときや、実際に臨んでいるときの気持ちのありかたを言語化するのに、しっくりくる感じがする。
ジジェクが言うには、性行為の最中に「なんで自分はこんなばかばかしい反復行為をしているのだろう?」と、ふと我に返って現実に立ち戻らないように、性的欲望(つまりは勃起状態)を持続させるファンタジー(空想)が必要なのだそうだが、クマの場合はジジェクが言うような意味でのファンタジーは別に必要ない。そんなファンタジーを持って迫られたらかえってこっちが興ざめしちゃうし、自分にしても相手にしても、どこをどう愛撫したらどんな反応をするかわからないからこそ、それを知りたいという「意欲」が湧くわけで、あらかじめお互いの反応を見込んで性行為に臨んでいるのではないなー、と、この映画ガイドを観ながらあらためて思った。クマのセックスは勃起も挿入もマストではないからかな。
ジジェクが引用・言及している映画って全体的に古めな感じ。もちろん、2000年代の作品もピックアップしているけれども、なんというか、ジジェクやラカンの欲望理論で都合良く説明できる新しくて古い作品を集めているだけのような。それがこの映画ガイドの狙いなんでしょうけど、たとえばゴダールの作品はひとつも出てこない。ジジェク自身の映画の好みの問題もあるとは思うが、意図的に避けているのではないかとすら思えてしまう。
あとね、引用・言及する映画とまったく同じロケーション(セットを再現した場)に身を置きながら、ひとりで一方的にとめどなくしゃべりつづけるジジェクのこの映画ガイドそのものを、どなたかラカン的に分析してくださらないかしら。
amazonUKでDVD扱ってるんだけど、リージョン0ってことは国内DVD機器では観られないのかしら。パソコンだったら関係ないのかな? だれか教えてー。
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観てまいりました@★イメージフォーラム・フェスティバルin名古屋。 ↓UKアマゾンの商品ですが、ニホンゴ字幕あり。 リージョンフリーだからニホ... 続きを読む






















リージョン0は、地域コード指定なしということです。形式も映像信号の形式も日本のTVと同じNTSCなので、パソコンでも、日本仕様のDVDプレイヤーでも観れますよー。
valerieさん、ありがとうございますー。 見終わってすぐに「これ、DVDになってないのかしら? なんて言ってるのかもう一回ちゃんと確認したい〜」と思ったのですが、スロヴァキアなまりの英語は聞き取りやすいようで聞き取りにくくて、DVD入手しようかどうしようか迷ってます。。。
クマさん!そのDVD、
Subtitles: English, German, French, Japanese
となってますよ。
聞き取れなくても、問題ないですね!
しかも日本語字幕まで入ってる!
このDVD、私も欲しいかも…。
>Subtitles: English, German, French, Japanese
>となってますよ。
valerieさん、よく見たらそうでしたー。
親切設計ですねー。
はじめまして。
「ヘテ男」って表現、いいですね。
使わせていただきたいです。
ほんと男の視線ってどーしようもないなー と思いつつ、
まぁ映画は視線=「男」の娯楽として始まったから
仕方ないかー などとも考えております。
ジジェクに張る位の舌鋒で、女性による女性のための
女性の官能的映画ガイド、みたいなのをどなたか
作っていただないかしら、とふと思いました。
TBさせていただきます。
紫式子さま
TBありがとうございますー。
>女性による女性のための女性の官能的映画ガイド
官能的かどうか、ガイドといっていいかどうかわかりませんが、
東京国際女性映画祭20回を記念して、その軌跡を記録した
『映画に生きる女性たち』という書籍がありますよー。
クマはこの本を女性による女性のための映画ガイドとして重宝していますー。