ペネロピ
[いぬのえいがひょう] vol.042
ペネロピ (2006) Penelope
先祖が魔女にかけられた呪いのせいで、豚の耳と鼻を持って生まれ、外界から隠されて育てられたペネロピ。
その姿のままで、上流階級の誰かに愛されれば、呪いは解けるという。
両親は呪いを解こうと、ペネロピに男との見合い話を次々に持ちかけるが、男たちはペネロピを見るとすぐさま「怪物だ!」と逃げ出してしまう。
そんな中、ペネロピの姿を見ても逃げなかったマックスと出会うが、またも裏切られ、傷心のペネロピは、家を飛び出す。
鼻をマフラーで隠しながら、見たことのなかった外界の生活を満喫するペネロピ。
ある日、マックスから楽しいと聞いていたバーに飛び込み、さばけた姉御肌のヤンキー娘アニーと仲良くなる。
数多く造られた『美女と野獣』亜流の、最新版。
王子という支配階級の、白人という支配階級の、人間という支配階級の、男という支配階級の、その時代で流行していた外見と一致した者が呪われて、毛むくじゃらの野獣に変身したことで、それまで持っていた支配者の特権を失う。
流行の外見に左右されない心の清い女が野獣さんとちちくりあうと、野獣は、流行の外見に逆戻り。
『美女と野獣』は、そんな話だった。
今回の
『ペネロピ』
。
製作は、リース・ウィザースプーン。
大ヒットした『キューティ・ブロンド』シリーズでは、男からかわいいと人気のある頭の弱いブロンド娘であることをやめて、愛犬のブルーザーさまと共にリベラルな弁護士として活躍するエル・ウッズを演じていた。今回は、ペネロピの親友となるアニー役も演じている。
主役のペネロピは、男社会の横暴に孤高に立ち向かったアイリーン・ウォーノスさんの実話を描いた『モンスター』の、クリスティーナ・リッチ。
こんなリベラルな取り合わせなら、「王子様がお姫様にキスして呪いが解けて結婚しました」などという展開にはなるはずはない。
この取り合わせじゃなくても、今時のハリウッドがそんな赤狩り時代に逆行するはずはない。
では、ペネロピの呪いはどう解けるのか。2種類を予想していました。
A).そもそもそれは呪いではない。豚は素晴らしい。ペネロピを好きになったかたも豚鼻豚耳になってハッピーエンド。
B).ペネロピを愛するのは、男である必要は全くない。アニーが呪いを解く。
Aでは、『シュレック』とあまりにも似すぎていて、二番煎じ呼ばわりされるに決まっている。
なので、Bと予想してワクワク期待しました。
実際観たら、AでもBでもありませんでした。
もちろん、旧来の、支配権力を奪取する展開でもない。
その手がありましたか!
呪いの解け方の種明かしをしてしまえば簡単なことですが、嬉しい予想外の展開は、観ていて楽しかったです。
呪いの魔法は、美醜の基準でかけられた呪いであるというだけではなく、ロマンティック・ラブ・イデオロギーという呪いでもあったのです。
そして、ペネロピは、呪いが解けたあと、小学校教師としてつつましくも充実した毎日を送る。
そこまでは素敵です。そこで終わらせれば、この映画、手放しで褒められる、多様性の御伽噺。
が、その後がちょっといただけない。
残念ながら、王子様お姫様ファンタジーが好きな客層に媚びたような余分な後日談がついています。
ところで! そんなことより、いぬかわいいよー! いぬってすてき! ぶうぶう!
・公式サイト「ペネロピ」
・DVD『ペネロピ』 (2008/09/17発売)
・関連書籍
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