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「レズビアンって、本当にいるんだなぁ」

2008年8月 5日 01:45 ミヤマアキラ
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先日、某大学でのセクシュアリティに関する授業で、セクバラ当事者の生の声を、とのリクエストにお答えすべく、わたくしミヤマとレズビアン当事者のシライさんとでゲスト講師を務めてきた。授業のアンケートを見せていただくと、とても面白い反応や質問があがっていたので、ここに紹介したい。


まずはシライさんにアンケートから気になったコメントや質問をピックアップして応答するという原稿を書いていただいた。最後にシライさんのプロフィール(文責:ご本人)も併せて紹介しているので、ぜひご覧ください。

【はじめに】

今回、「L当事者として学生さんの前でお話ししてくれませんか」という依頼を、私が受けようと思ったのは、最近7年ぶりに彼女が出来たので、「うぉー、公の場で堂々とノロケられるぜ」と思った……からではなくて(少しあったけど。実際ノロケたけど)、今や立派なオバレズである私に何か語る意味があるとすれば、当事者に対しては先行モデルとして「今は悩んでいるかもしれないけれど、セクシュアリティが足かせになんてならない。むしろ人生を豊かにしてくれるよ」と言いたかったし、大多数の非当事者には、生のレズビアンを実際に目にすることでメディアなどの膨大な情報から得た「ハリボテ・レズビアン像」(注1)をがらがらと壊してもらいたかったから。

 

当日、100人近くの学生さんの前でお話させていただいて、学生さんたちはおおむねとっても静かだったけれど、話の途中ぐっと聞き入っているような熱を感じる瞬間も何度かあり、話をしているこちらも熱が入りました。

 

 

【印象に残った感想】

1.「レズって普通じゃん、おれらと変わらないじゃん」編

『ほんとうにこういう人がいるんだなあ』

いるんですよ! ここにね!

やっぱり、実際に目にしないと実感はないのだろうなあ。

で、生レズビアンを目にして

『恋愛対象が同性なだけであって、人間的なところはなんにも変わらないなと思いました』

そっかー、うん。

「なんにも変わらない」という思考の着地点が、ヘテロ的模範解答っぽい。

「人それぞれ、みんな違う」というのが非へテロ的解答かしらと、私は思う。

 

こちらは他の人の感想。

『レズビアンとか性同一性障害という言葉を聞くと、特別で特殊だとか思っていました。<中略>でも話を聞いていると「普通の人だな」と感じました<後略>』

特別で特殊ってどんなイメージだったんでしょうねー。

いい意味ではなさそうですね。

はい。普通の人です。「普通で人生終わりたくないぜ。死ぬまで仕事を極めていきたいぜ」と思って、日々もがいている普通人でございます。

 

2.「ゲイやレズビアンは繊細?」編

『話を聞いて一番感じたことは、ゲイやレズビアンの方は心がすごく繊細で傷つきやすい人なんだと感じた』

これは、ミヤマさんが「わたしたち歳くったレズは、何言われても動じませんが、若い悩んでいる真っ最中の当事者たちは、本当に傷つきやすいんです。みなさん、そう思って接してくださいね」というようなことを言ったことに対する感想だと思います。

 

でも、この感想をきっかけに、ちょっと考えてみたい。

 

他のアンケートを2つ引いてみよう。

『「レズってどうなの?」と興味で聞かれるのが少しイヤとのことを聞いて、<中略>ゲイの友人がいて、彼のことを理解しようとして、やっていたことが、実は少しイヤなことだったかもしれません。彼にとってボクと一緒にいることがつらいものだったのか……いろいろ気になってきました』

 

もういっちょ。

 

『自分がストレートであっても、身近にレズビアンがいることによって、女性を意識し始めてしまうことがあると知り、自分も何か起こるか分からないと思いました。この話を聞いて、もしかしたら自分の気がつかないうちに相手を傷つけていたかもしれないと思うとやりきれない気持ちです』

 

はい。

このお二人は、イヤな思いをさせてしまったかもしれない。知らぬ間に傷つけてしまったかもしれない。そう想像したのですね。当事者の話を聞いて。

 

とても繊細な反応だと私は思った。

 

若い当事者は確かに繊細で傷つきやすい。

でも、多くの非当事者がなんというか、鈍感というか、思考停止してるというか、想像力がないというか、そういう側面もあると思うんだよね。

そんな風に言われると、なんかちょっとむかっときちゃうかもしれないけどさ。

 

3.ノン・モノガミー的指向について

『<前略>右側の人(わたしのこと)が発言していた「付き合っているのに他の人と飯を食べたり、遊んだりする」という事が許せなかった』

この感想は、わたしがかつてのお付き合いにおいて、ヘテロのカップルでも彼女が他の男子と二人でご飯を食べたり飲んだりするのを嫌がる人がいると思うけれど、私自身も行動を必要以上に自己規制してしまい、友人として仲良くなりたいなあ、もっと話してみたいなあと思う女子がいても、仲良くなりすぎて、「相手に万が一好かれちゃったらどうしよう(そんなモテないっつーの)」とか、「彼女が嫌な思いをするんじゃないか?」とか取り越し苦労をした結果、友人関係を自分自身で狭め、窮屈になっていった、という話をしたことを受けてのもの

 

ヘテロ女子なら男子と仲良くなるのを自己規制しても女子の友人は残る。

けれど、レズビアンの場合は、そうはいかない。

なんだか、ひとり余計なことをグルグル考えてがんじがらめになっていました。

 

そんなことがいちいち気になる私は、モノガミー(注2)的な関係性を必ずしもよしとしない、ノン・モノガミーというスタンスが心地よいと後に気がつきます。

 

モノガミー的な関係性を心地よく思う人であったならば、そんなことでいちいち悩んだり、過剰適応したりしないのだろう。

 

この感想を書いた人は、付き合っている人が自分以外の人と仲良くするのは許せないんですよね。さらに、わたしがそうであることも許せない。

 

なぜ許せないのだろうか?

「許せないものは許せない。付き合うって普通そうでしょ」と片付けてしまわずに、考えてみてもらいたいと思います。

 

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【気になった質問への回答】

1.女性にカミングアウトして、無理って言われたらどんな気持ちになりますか?

カムアウトしようという気持ちになるということは、その人との間に信頼関係があり、今後も関係を続けていきたいと自分が判断したわけです。

その相手がセクシュアリティに関し無理解な反応をしたのですから、そんな人と信頼関係が築けていると思いこんでいた、「私の人を見る目もまだまだだな」と思うんじゃないかな、きっと。

 

2.同性にせまられたら興奮しますか?

人によりますよ。

今まで、せまられて興奮したことは……何度かは、そりゃ、長く生きてますから()

カムアウトしたヘテロ女性からぐいぐいせまられて、どん引きすることは、ままあります。

 

3.女性だと思って付き合って、以後女性ではないと気付いても嫌にはならない?

えぇ。

実際にそういう経験をしていますので。

全然嫌にはならなかったですね。

ちょっと補足しますね。

身体的に、嫌になったりはしなかったんです。

嫌にならない自分は「女性を好きなレズビアンとは言えないんじゃないか」と悩んだぐらい。

しかし、その人は強固な男性ジェンダーを発揮したい人だったので(キャラはヘタレなのに)、そこには辟易しました。

 

 

4.2人とも、40代ですが(引用者注:違うよ!)、何歳ぐらいのときが一番つらかったり、大変だったですか? その逆に一番楽しかったり、幸せだったのはいくつぐらいの時でしたか?

一番つらかったのは、22歳ごろ。

親友だと思い込もうとしていた女の子への思いを恋愛感情だと自認した少し後ぐらいの時期。

彼女に対しては親友のふりをして、誰にも心を開けないまま、どんどん内にこもってしまい、毎日が退屈だった。

今にして思うと立派な鬱症状。

勉強やサークル活動への情熱も失われてしまい、もう死んじゃいたいとマジで思ってた。

 

一番楽しく幸せなのは、もちろん現在。

生活できるだけの収入が得られる仕事があり、カムアウトしても関係が変わらないヘテロの友人や仕事仲間がいて、気兼ねなく話せ弱みも見せられるレズビアンの友人がいて、何より大好きな彼女がいますから。

 

ただ、クローゼットから出たばっかりの、いわゆるカムアウト・ハイの時期(25歳ごろ)も相当楽しかったです。

すごく生きているということがキラキラ感じられて、もうこれから楽しいことしか待っていないんじゃないかって思うほど希望に満ち溢れていた。レズビアンじゃなかったら出会えてなかったであろう、年齢や職業のまったく違う人たちとの出会いも新鮮で、「レズでよかった~」と心から思った。

 

 

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【今、幸せですか?】

当日、開場から出たラストの質問。

「今、幸せですか?」

私は当日、臆面もなくノロケまくったんだけれど。

 

感想にこういうのがあった。

『<前略>自分は今毎日たいくつだって思うような日々をすごしているのですが、お二人を見てすごい生きてるなあと思いました。お二人と飲みに行きたいって思いました』

 

40目前の二人のオバレズを前にして、「一緒に飲みに行きたい」なんて、勇気あるなあ。

 

退屈だと感じることから、「自分がどうしたいのか? どうなりたいのか?」を考えるきっかけが生まれ、どうあることが幸せなのかが見えてくるのだと思います。

 

ほんと、飲みに行く?

 

 

(注1)ハリボテ・レズビアン像

メディアの垂れ流す膨大な情報の断片をつなぎ合わせた、モンタージュのような(現実には実在しない)レズビアン像を、虚像という意味で「ハリボテ・レズビアン」と言ってみました。

「ハリボテ・レズビアン」とは、ステレオタイプな、「男になりたい女」とか、「男に相手にされないブス」とか、「結婚できなくてかわいそうな人」とか、「女とセックスしたがるエロい女」とか、そんなイメージを想定してます。

知り合いにレズビアンがいなければ、そんなもんだと思います。

『負け犬の遠吠え』の著者であるマーガレット酒井さんは、共著の中で、「レズビアンといえば、高校の教室の隅でアニメとかおたくな話題で盛り上がっていた、暗くてモテナイ集団がレズっぽかった」と思い出を語っています。はは。貧困だなあ。

 

(注2)「私の考えるモノガミー」

恋愛または婚姻において、1対1の閉じられたものであることを前提とするような関係。

お互いに他者へ関心を向けない(恋愛や性行為はしない)のが理想というか建前。

しかし、相手に気づかれないようにするなら、もしくは自分に分からないようにされるなら浮気も仕方がないとする人も中にはいる。けっこういる。

重要なのは、(例え幻想であっても)つがい関係が破綻しないこと。

排他的優先権を与えたり与えられたりすることに喜びを感じ、そのような言動を欲する関係性。

 

 

【シライさんプロフィール】

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1995年(多分)←ネットで調べたら『Go fish』の日本上映は95年と書いてあったので合っていると思います。L系イベントへのファースト・コンタクトは、当時渋谷のパルコで開催された第2回国際L&G映画祭。

『Go fish』を観ている最中、ぐあーっと胸(股間ではなく)の辺りが熱くなって、「そうそう、やっぱ、こっちだわー」と自分のセクシュアリティをようやく認めてクローゼットから出ようと思う。

 

95年〜98

地元のノンヘテロ女性のためのサークルで約3年間活動。

クィア・フィルムの上映会の裏方を手伝ったり、青少年向けのフリーペーパー作成に関わったりする。

これは東京に出てきてから気づいたのだけれど、この時は地方ならではの、ほんわかのんびりした雰囲気でものごとが進行して、本当に楽しかった。

レズビアンの友人もできて楽しく過ごすが、ノン・モノガミックな性愛スタイルが一部の方々に受け入れられなかったりして淋しさも味わう。

 

98年〜

仕事で関東圏へ。

LOUDや2丁目へ時々出掛けてはみたけれど、なかなか仲良くなれる人とも出会えないまま時間は過ぎてゆく。

当時のLコミュニティにおけるバイ・バッシングや主婦レズ批判、アクト上のランク付けやトップダウンでごりごりとものごとが決められていく性急さなどが、私にはなじめなかった。

 

00

そんなこんなで、自然にフィールドはミックスのイベントへとシフトし、合宿形式のミックスのイベントのスタッフとして関わったりする。

 

01

彼女と別れた傷心をごまかすように仕事に没頭していたら、本当に仕事ばかりする人間になってしまい、コミュニティから足が遠のく。

 

04年〜07

開業前後の4年間は1年間のうち350日仕事していた(これホント)。

 

06

開業する。

本当は開業はもう少し先の予定だったのだけれど、当時勤務していた店の店長(ノンケ女子)とイロコイ沙汰になってしまい、一緒に勤務するのがしんどくなってがむしゃらに働いて開業を前倒しした。

 

07

イベントへ出掛けていく時間はなかったけれど、Lコミュニティと何らかのつながりが欲しくて細々とブログを始める。

 

08

独立開業して2年過ぎた今年、そろそろL系イベントへ出掛けてみようかしらという心の余裕がやっと出来、ちょっとずつイベントに参加し始めるようになる。余談ですが、7年ぶりに彼女も出来ました。

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