[住まい図鑑]自然発生的コーポラティブハウス
■ 建物概要
・ 住所:愛知県名古屋市
・ 建物構成:1階部分は隣接する企業の倉庫で、2階~4階が住居部分(22戸)。1戸は2DKを基本とし、住人によって適宜改修もされている
・ 築約40年
・ 住人構成:老夫婦、編集者、OL、グラフィックデザイナー、骨董商、料理人、看護士、カメラマン、保育師など
・ 家賃:52,000円(プラス共益費 2,000円)
・ Hさん宅改修費
台所の改修 141,220円の1/2を負担
畳をふちなしに変更 14,000円の1/2を負担
風呂場を杉の無垢板貼りに改修 5,000円 自己負担なし
ベランダのスノコ 5,000 円
台所の合板貼りは以前使用していたものを再利用したため負担なし
● 好みの家を育てる
幹線道路からやや離れた静かな立地と、窓を開ければ見える木々の緑。少し高めの天井と、南北にある窓から抜ける風がつくる開放的な雰囲気。そうしたものに惹かれ、フリーの編集者兼ライターのHさんはこのマンションに住み始めた。オフホワイトの空間に、素朴な風合いの家具や道具が静かに並ぶ住まいに、彼女の穏やかで丁寧な暮らしが垣間見える。ダイニングキッチンのフローリングの床や収納棚などは、元からあったものではなく、彼女が手を入れ改修したもの。このマンションの管理者は改修に協力的で、驚くことに時に費用を半額負担してくれたりもするとか。手を加え、好みの家具をそろえながら、育ててきたのだ。
● 独立しながら傍らに住む
Hさんの住むこのマンションの別の階には、彼女の娘も住んでいる。同じ建物に別々の生活空間を持つ母と娘。それぞれが仕事を持ち独立を保ちながら、車を共有したり、夕食を一緒に取ったり。お金と安心を支え合うシングル女性の心地よい関係がそこにある。
● 同じ価値観でつながる人
母娘の関係だけでなく、このマンションに住まう人たちのつながりは濃い。Hさんの仕事仲間であるデザイナーのYさんは4階の住人で、彼女は少し前までオフィスを隣人とシェアをしていたとか。その他、まちづくりの活動や飲み会をしたり、車のバッテリーが上がったときけばJAFより早く誰かが車を出してくれる。「昔の長屋が立体的になったよう」なご近所づきあいがあり、一人暮らしでも安心だという。「遠くの親戚より、近くの他人」の言葉がしっくりなじむ。
最近ではマンションの西壁面を緑化する話を住民同士でしており、Hさんは「いつか1階の倉庫を共有の図書館やゲストハウスにできたら」とも話す。この建物が気に入ったという同じ美意識や価値観をもつ人たちのつながりと、改修などに理解ある管理者が可能にした、共同住宅だ。言わば、「自然発生的コーポラティブハウス」。さすがはライターのHさん、さらりと素敵な表現が出てくる。
● 結果、コーポラティブ
コーポラティブハウスとは入居希望者が共同で住宅を建設する住まいのこと。戸建てより安く自由設計の住まいが建てられる、と1980年代に注目された共同住宅のひとつだ。時間と手間はかかるが、それを共有することで住民同士のコミュニティも育まれる。でも、基本新築なのでそれなりに高い。
一方、今回紹介したマンションは、改修OKで住民のコミュニティもある。結果としてコーポラティブな住まいだ。そして費用は毎月の家賃と任意の改修費のみ、と格段に安く、賃貸なので入退居もラクチン。そのおかげか築40年の物件にしては入居率が高いとか。既存の物件をコーポラ的な集合住宅に変える、というのは住まい手にとっても、管理側にとってもかなり素敵な方法ではないだろうか。
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いつも拝見しています。
こちらでコーポラティブやコレクティブハウスの存在を知り、
非常に興味を持ちました。
これからもいろいろ情報をよろしくお願いします。
楽しみにしてます!
なちさま>
コメントありがとうございまっす。
どこかで面白い住まいがありましたら、教えてくださいまし。
今後ともどうぞごひいきに。
はじめまして。「住まい図鑑」久しぶりに自分の感性?をくすぐられる内容で、気持ち良かったです。建築は、特には専門ではありませんが、好きです。イトサチさんの視点が、気持ちよく感じるのです。ホームレスの方などには、直接取材されているのですよね?そういったところも、実に興味深いです。むしろ、自分も同行させていただきたいくらいで・・・。自分は、仕事柄、主に入居されているお宅にて、半日~一日作業することがしばしばあります。ほんの数時間ですが、接している間にそのお宅の空気は、ある程度感じることができます。おっとりした親にして、とてものびのびした優しい子供達、さまざまな家族達、時には、理想的だなぁと感じる夫婦の間柄等。家と人の観察を無意識の内に行っているようです。「図鑑」は住む家と人との関係が示されて好きな内容でした。
としさま>
あたたかいコメント感謝です。
ホームレスさんの取材は学生の頃にしたんですが、すごく衝撃的な出来事でした。家や暮らし方について随分意識が変わりました。
他の住まいもそうなんですが、住まいが印象的な方は、暮らし方もそうで。家には人の暮らし方が表れていて、面白いですよね。
なかなか更新頻度が遅くて情けないのですが、これからもどうぞよろしくです。
お近くに面白そうな住まい、暮らしがありましたら、ご一報くださいまし。取材に参ります。
秋の終わりころ、娘がこのアパートをでることになりました。短大卒業以来約6年間。私が家出?して離れていた5年間をとりもどすように、大人になった娘とのとりとめもないおしゃべりを、心から楽しんだ日々でした。
少しさびしいけれど、好きな人と同居をはじめる彼女を心から祝福したいと思っています。この記事がとってもいい記念になりました。いとさちさん、ありがと。
人も住まいもどんどん変わります。変わる可能性のある、賃貸
という住まい方を楽しみたいと思います。
この小さな住まいに居を定めて、10年。
さらに10年後の私は、どこにいるのかなあ。
harumonaさん>
この度は快く取材に応じてくださり、とってもとってもありがとうございました。ステキな住まい方してらして、素直に憧れます。
定光寺のお住まいもなかなか面白そうですね(笑。進路啓発本の打ち上げ兼紅葉狩などいかがでしょう(^o^)/
10年後の住まいも、harumonaさんならきっとステキだと思います。また住まい関連のお話もさせてくださいまし。