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講演会「LGBTのメンタルヘルスとそのサポート」(1)

2008年11月24日 11:34 ミヤマアキラ
mental_support.jpg

2007年7月14日(土)、パフスペースにて、「LGBTのメンタルヘルスとそのサポート」と題する講演会が行われました。以下は、講演会に出席したミヤマのメモです。

<ミヤマの前口上>

なぜ、1年以上も経ったいまになって記事を掲載するのか、と疑問に思うかたもいらっしゃるかと思いますが、特に意味はありません(汗)。とても大切な講演会であったことは確かだし、どなたもこの講演に関してメディアなどの公開の場で言及している様子も見られないので、いずれどこかの時点で公開したいと考えていました。……が、あれこれあれこれやっているうちに時間がどんどんすぎていった、という次第です。あしからず。

 

ゲストスピーカーは3人なので、講演会の内容を3回に分けてレポートします。3人のうち、最初のLindaさんの報告は英語で行われ、通訳担当のかたが日本語で話しました。あとのおふたりは日本語で報告され、その後1年以上が経過したという事情もあり、直接連絡をとってメモを読んでいただき、加筆修正などを依頼しましたが、Lindaさんのものはメモのチェックを依頼していません。言語の問題もありますが、30年のキャリアから練り上げられた報告なので、1年くらい経っても内容にさほど大きな変化はないだろうとミヤマが判断したからです。

 

 

まずはLinda Garnetsさんのお話から。LindaさんはUCLALGBTのメンタルヘルスに関する教育・研究、LGBTのメンタルサポート(カウンセリング)を行っており、この分野に関して約30年のキャリアがある。

 

LGBTのメンタルヘルスに悪影響をおよぼす最たるものは、LGBTが社会の性的偏見、差別、暴力にさらされる危険であり、それによってLGBTは恐怖ストレスを受ける。

 

LGBTが受けるストレスの源泉は主に3つ。

1:内面化されたホモフォビア

ヘテロセクシズム(強制異性愛)という文化的な信念体系によって、LGBTはおとしめられ、無価値化され、「犯罪的」「自然ではない」と見なされる。

 

2:予測的偏見(不安)

「こんなことをしたら(言ったら)差別されるのではないか」と、偏見に対して当事者が先回り的に感じる不安。

 

3:実際に起こっている偏見

現状の差別的政策や法律による組織的偏見と、個々に行われる差別や暴力。LGBTの人権が認知・保護されていない現状。ヘイトクライムなど。

 

LGBT当事者が社会の偏見から身を守る手段は2つ。

1:自分のセクシュアリティを隠す

しかし、それは偏見への恐怖によって強制されたものである。隠すことによって失うものがある。ヘテロのふりをすることによって自分が自分でいられない、など。

 

2:自分のセクシュアリティを公表する

ただし、公表することによって差別や否定などの攻撃対象になりやすい。けれども、性的アイデンティティを公表していないひとより、公表しているひとのほうが、自己肯定感が強くパワーがあるという研究データがある。

 

LGBTへ向けられる性的偏見を、LGBT当事者が内面化していることも問題。それによって、「自分は価値のない存在だ」と思い込まされ、自尊心を奪われる。恥の意識や自己嫌悪を抱き、ものごとに対する意欲を失う。性的マイノリティの一員であることを否認する。その結果、孤立無援状態に陥る。

 

しかし、ひとにはレジリエンス(resilience;柔軟性、弾力性、回復力)があるので、ある程度はストレスに屈せずうまく適応できる。

 

●レジリエンスをもたらす要素は4つ。

1:カムアウト(セクシュアリティの公表)

恐怖ストレスによる悪影響を乗り越えることができる。ヘテロセクシズムの性的抑圧にNOと言える。ただし、カムアウトはプロセスであって、1度カムアウトすればすべて完了、というわけではない。ことあるごとに自分の立ち位置を表明していく必要がある。

 

2:社会的支援を受けること

当事者を支える異性愛者の仲間、家族とのつながりを持つこと。アメリカの高校では「Gay-Straight Alliance」(当事者と非当事者を結ぶ同盟?)クラブが増えている。

 

3:選択縁による家族、仲間をもつこと

血縁ではなく、自分の意志で選択した家族(同性パートナーなど)をもつこと、同性愛を社会化することによって、「自分は孤立していない」という基本的な安心感が得られる。孤立の不安や恐怖から守られる。カムアウトのタイミングや自尊心を学べる。さまざまなロールモデルから身近に学ぶことで、社会的対応能力が身につく。

 

4:社会的活動(マイノリティ・コミュニティ活動)

個人的なゲイバッシングの体験をより広範な形で学ぶことができる。個人の辛い体験を大きな文脈に置き換える。個人的な問題を共有し、大きな問題にし、政治的活動へとシフトする。個人の内部に抱え込むのではなく、外部に働きかける。どこにも向けようのなかった怒りや不満に目的を与えることができる。内的偏見に立ち向かい、自らも規範化しているヘテロセクシズムの影響に気づき、それを解除していく。

 

<ミヤマの所感>

Lindaさんのお話からうかがえるのは、LGBTのメンタルヘルスサポートのキモは社会(他者)との関係を築き直すことにあるのだということ。医療モデルに沿って問題を解決するのではなく、関係性モデルをとっているということ。したがって、医療専門者ではなく当事者コミュニティによるサポートを重視し、LGBTがメンタルヘルスを損なう要因を社会(の現状)との関係から分析し、具体的な問題解決の道を切り開いている。


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