「デルタVプロジェクト」発動します!
「デルタVプロジェクト」発動します!
レズビアン・カップルのあいだにも深刻な暴力のトラブルがあります。こう言うと、あなたは驚くでしょうか。暴力とは、男から女に向けられるものであって、女同士で暴力沙汰が起こるなんて信じられない、と言うでしょうか。
しかし、あるんです。レズビアンだけでなく、ゲイでもトランスジェンダーでも、性愛を伴う親密な関係には、必ずDVの問題がついてまわります。けっして声高には語られないし、語ったところで第三者にはなかなか理解してもらえないけれど、あるんです。
●デルタVプロジェクト主旨文
暴力の可能性は、どこにでも存在します。しかし、なかなか社会のなかで認識されない状況に置かれている暴力の問題があります。そのひとつが、いわゆる「セクシュアル・マイノリティ」(※)のあいだに起こるDVの問題です。
もちろん、これまでにも少なくないひとびとが、この問題について取り組んできました。しかし、2001年から法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)が施行されたこともあって、DVが“男から女に向けての暴力”として強調されればされるほど、DVについて考えたり語ったりする場では“女も暴力を奮うのだ”という、ちょっと考えたら“あたりまえ”であるはずのことも抜け落ちてしまいます。
また、からだの性別と性自認が一致しないひとたちのなかにいる被害当事者たちも、なかなか当事者同士がつながることのできない状況にあります。さらには、そのようなひとたちがシェルターや相談所に訪れてみても、相談員の理解がないことによって二次被害を受ける危険も、まだまだ多く存在します。そこでは、異性愛主義と性別二元論が前提とされていることが少なくないからです(このことについてはプロジェクト内のレポートで詳細に説明していきます)。
●非異性間DVの背景
非異性間DVが認知されないおおもとの理由はもうひとつあります。それはセクシュアル・マイノリティに沈黙を強いるこの社会のありかたです。平等に扱われて「珍しくサベツされなくてラッキー!」と喜んだ経験はありませんか。それは、セクシュアル・マイノリティへの差別と抑圧と暴力が社会的に容認されており、蔓延している証拠です。
まだまだ非異性愛者は蔑(さげす)まれて当たり前、という社会です。また、あてがわれた性別になじめない者の多くは、幼いころから家族の矯正(きょうせい)や圧力を受け、思春期前後からは同性を好きになる者とともにいじめのターゲットにされます。家庭内でも学校でも職場でも、セクシュアル・マイノリティのほとんどは自分を守るために、日々何らかの沈黙を強いられます。この日々の沈黙こそ暴力の最大の温床となるのです。
「ちゃぶ台をひっくり返す親爺」を見ての通り、DVは、女性運動が女性への暴力を問題とするずっと前から、家庭内暴力という形で顕在化していましたが、それは不幸な生育歴や個々の家族の問題、あるいは社会的貧困からくる一現象として、孤立した扱いを受けてきました。しかし、実はこの社会があらゆる階層や場面で女性に沈黙を強いており、家庭内DVもその一環であることが多くの被害当事者によって明らかにされて初めてDVへの取り組みが本格的になり、公的支援もはじまりました。異性愛ベースの結婚制度の維持にやっきとなる国としては、遅きに失した、というべきでしょう。
ただし「女性への暴力」への取り組みにはひとつの弱点があります。それはもう一方の当事者である男性との連携がなかなか見いだせず、多くの場合対立関係となり、警察力と裁判所に依存せざるをえない点です。非異性間DVも当然、警察と司法のお世話になるでしょうが、性別二元論では済ませられないため、異なったアプローチが必要であり、またそこから広がる新たな可能性もあると思います。
さてデルタVは、同性間DVをきちんととりあげ、それをセクシュアル・マイノリティ全般への社会的差別や抑圧、暴力の告発へと拡大していけるのか。何ができるかは未知数ですが、セクシュアル・マイノリティが安心して暮らせる社会を目指して、まずは沈黙を破ることからはじめようではありませんか。
(※)「そもそも『セクシュアル・マイノリティ』って誰?」という点については、つぎのようにしておきます。世の中には「女」と「男」というふたつの性別しか存在しない、かつ、からだと性自認が一致しているのが“あたりまえ”であるという価値観(性別二元論)、その「女」と「男」が“つがう”ことが“あたりまえ”であるという価値観(異性愛主義)――このふたつから外れたひとびと。とりあえず集まってみた“わたしたち”のなかには、「それって『マイノリティ』ではなくて、『セクシュアル・バラエティ』なんじゃないのかな?」という声もあります。
2008年2月2日
デルタVプロジェクト
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