社会新報にプレイベント記事が掲載されました。
2008年7月2日(水)付の社会新報に、当プロジェクトの公開プレイベントの様子がレポートされています。
PDFファイルはこちら→社会新報.pdf
*以下、記事全文です。
LGBTユースの現状とこれから
日英LGBTユースエクスチェンジプロジェクトが発足
専門職員を置きサポートする英ブリストル市の取組み学ぶ
「国際反ホモフォビアの日」(ホモフォビア=同性愛嫌悪)に合わせ、イギリス・ブリストル市役所のスタッフを招いてのトークイベントが開催された。日本とイギリスにおけるLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)ユースの状況が報告され、ブリストル市で行われているLGBTユースへの取り組みについて聞くことができた。主催は、LGBTの若者の国際交流を支援する「日英LGBTユースエクスチェンジプロジェクト」とセクシュアルマイノリティーの学生を中心としたネットワーク「レインボーカレッジ」。
さる5月17日は「国際反ホモフォビアの日(IDAHO)」だった。1990年のこの日、WHO(世界保健機構)が国際障害疾病分類から「同性愛」を削除すると決議したことにちなむ。日本でも街頭アクションなどが行われた。18日には「IDAHO=イギリス×日本? LGBTユースの現状とこれから」と題したイベントが東京で開催された。
「日英LGBTユースエクスチェンジプロジェクト」は性的少数者の若者が、自分の性自認や性的指向を肯定的に受け止める土壌が十分でない現状をふまえ、LGBTの若者を支援するために国際基督教大学ジェンダー研究センターとイギリス・ブリストル市役所青少年局の協力で発足した。日本とイギリスのLGBTの若者同士が出会い、情報交換しながらエンパワーメントし、社会に対して発信・提言していくことを目指している。双方の訪問や打ち合わせが行われており、8月24日には東京で公開イベントが予定されている。
◆情報なく孤立しがち
「レインボーカレッジ」のメンバーで、トランスジェンダーとして様々な活動をしている遠藤まめたさんから、日本におけるLGBTの現状について報告があった。遠藤さんは「なぜユースの問題に取り組むかというと、思春期には悩んだり孤立することが多く、また、教育制度や学校の中での問題が多いから」とデータを用いて説明した。
ゲイ、バイセクシュアル男性7000人を対象にした調査では、自殺を考えたことがある人は65.9%、自殺未遂経験のある人は14%という結果が出ている。また、調査はされていないが、性的少数者の若者の多くはいじめの経験があると考えられている。
「性的少数者の多くの若者が、自分の命の大切さがわからないほどの状況に追い込まれている」と遠藤さんは自身の経験も交えながら話した。
また、日本における問題点として、性別二元論に基づいた学校教育、異性愛を前提にしたカリキュラム、正確な情報提供がないこと、相談できる教員や場所がないことなどが挙げられた。遠藤さんは「性的少数者に関する調査が行われていないことも問題のひとつ」という。また、司会の斉藤幸太さんは「当事者中心だと限界がある。性的少数者が抱える問題を共有し、機関と連帯をはかり、少しでも当事者が苦しむことのないような社会をつくりたい」と話した。
◆"抑圧"への取り組み
続いて、イギリス・ブリストル市役所のスタッフであるバブス・マクフェイルさんとカズ・ウィリアムスさんがLGBTユースへの取り組みについて話した。ブリストル市はイギリスの南西部に位置する人口41万人の都市。市は「すべての人の平等を達成するための指針」を持ち、「差別と(社会によって作られた)不利な状況がブリストルに住む多くの人の生活の質を落としている」という認識を持っているという。
90年にブリストルの学生により行われた調査では、「自分のセクシュアリティーについて公言すると暴力被害にあう」という問題が浮き彫りになり、翌年、市の援助を受けて女性同性愛者のグループが発足。のちに発足した男性同性愛者のグループと共に助成金を受けて「フリーダムユース」というLGBTの若者を中心にしたプロジェクトが発足した。そして市は2000年に、性的少数者に対する行政サービスに取り組む専門の職員を配置した。
「フリーダムユース」の提供するサービスは13歳〜21歳の性的少数者を中心に利用されている。専門のLGBTのカウンセラーがおり、ユースワーカーや学校職員に対しての研修も行う。バブスさんは「LGBTの若者をサポートするのに、ニーズを把握し、サービスの提供をいろんな人と協力しながらつくっていくことが大事」と職員の仕事について話した。「フリーダムユース」ではブックレットやポスターを制作し、学校や公的機関に配布している。LGBTに対する市の予算は年間9万5000ポンド(約1800万円)だという。
カズ・ウィリアムスさんは、同性愛嫌悪によるいじめについて「文化的、構造的につくられている"抑圧"について総合的に取り組む必要がある」と話した。
◆日本でできることを
その後、ディスカッションの時間が設けられた。3つのグループに分かれ、ブリストル市での取り組みを聞いての感想や、日本で参考にできること、展望についてなど活発に意見交換され、最後に全体で共有した。参加者のひとりは「イギリスは当事者の歩みと法改正などの取り組みが両輪で進んでいるという印象。日本は法的保障もない。当事者が声を上げ続けるだけでなく、より良い社会にするための具体的な方法論を学びたい」と話した。
ブリストル市での取り組みを「うらやましい」で終わらせず、日本でできることを模索したいという前向きな空気に包まれた。(林 有希)
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